イングリッシュガーデン vol.1 Beth Chatto Garden
イギリス ロンドンの北東側に位置するエセックス県(ESSEX)のコルチェスターという所にこの庭園はあります。私の通ったリトルカレッジ(Writtle College)もエセックスにあり、チェルムスフォードから国鉄にマウンテンバイクと共に乗り込み、コルチェスターまで行き、その先の丘陵地をマウンテンバイクで80分程走って辿り着いたのを思い出します。
べス・チャートさんは園芸家としてイギリスでは名高い方で、ご自分の庭をベースに湿地ガーデンの本も発行されています。1960年に造園に着手。もともと果樹園だったこの土地は、土の状態も悪く、石ころだらけで、くぼみや湿地もありました。もともと風が強く、乾燥する地帯だった所を、何年も掛けて土改良などを進め、この立地と環境にあったガーデンを完成させたのです。
庭はいくつかの種類のガーデンがあり、大きくは グラベルガーデン、ウォーターガーデン、ウッドランドガーデン(gravel garden/water garden/woodland garden)に分けられます。
↑アイリス・アリウム・バーバスカム・ニゲラ・ポピー・グラス類との葉のテクスチャーの融合と花色のコントラストが素敵なグラベルガーデン
彼女はフラワーアレンジをかつてしていたことと、天性のセンスとが上手く合わさった巧みな色使い・素材のコンビネーションで庭を宝石を散りばめたかのように演出しています。
まず高い生垣に囲まれた中に入ると、そこにはグラベル・ガーデンが広がります。 私はべス・チャートガーデンの中で最もこの前庭に位置するグラベル・ガーデンがお気に入りです。濃いグリーンの生垣をバックに広がる砂利と色鮮やかな植物のコンビネーション植栽。彼女の庭には、その環境に適合した植物のみを上手く使い、本当に色鮮やかで女性らしい個性あるプランティングプランを実現しています。日本でもローメンテナンスガーデンと称したグラベルガーデンを造るときには、彼女の植栽を参考にして取り入れられるプランツが多くあります。
べス・チャート ガーデンは、四季を通じて様々な色の変化とテクスチャーが感じられます。この庭は、秋がベストシーズンらしいのですが、私は残念ながら未体験。いつか秋に訪れたいです。
グラベルガーデン 4月上旬
グラベルガーデン 5月下旬
↑春(4月)のウッドランドガーデンの様子
ラッパ水仙・Pulmonalia saccharataが咲き誇る
黄色い葉はグラス類のMilium effusum 'Aureum'
↑丈高く咲くオレンジとイエローの花はFreitillaria imperialis、その後ろにユーフォルビアの花
5月下旬のウッドランドガーデン。ギボウシが茂り、ジギタリスやシャクナゲが咲いている。
↑ウォーターガーデン
回遊式になっていて、芝生の園路を歩きながらガーデンを散策出来る。
池を囲むように湿地で育つ植物が植えられています。
手前のピンクの花はPerscicaria bistorta (イブキトラノオ)
↑スクリーガーデン(自宅前の庭)
がれ場の庭と名づけられた痩せた乾燥土壌を利用した庭。この庭で試されたプランツたちのうち、よい生育のものが、グラベルガーデンに使われている。5月下旬にピンクの花を咲かせている木はハナズオウ
このページの写真は、1999年留学中4月と旅行で行った2002年5月下旬に撮影した写真を使用しています。(画像はデジタルではなく、写真をスキャナしたものの為、画像が鮮明でないのはご容赦ください)
写真&文:大滝暢子